腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 そう思うのだが、先生には本音を話してと言っておいて、私だけ本音を話さない、なんて確かにフェアじゃない。

 リクさんは知ってたけど、こっちのリク先生は知らないことだし……。

 伝えた方がいいよね……。
 でも、こんな破廉恥なこと言って、嫌われたらどうしよう……。

 いや、でも隠し事は良くないし……。


 ぐるぐると堂々巡りするように考えた後、私は自分の手をぎゅうっと握ると、先生の顔を見た。
 でも、ちょっと恥ずかしくて、すぐに目をそらす。

「あの、あのね……私も言えなかったことが一つあって」
「なに?」

 リク先生のすべてを包み込むような優しい声。

(ええい、もう、なるようになれ!)

 次の瞬間、私は大声で叫んでいた。

「私、先生が思っているような純粋な人間じゃないんです!」

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