腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 まさか、と先生は首を横に振った。
 私は心底ほっとする。

 すると、先生はにこりと笑って、続けた。

「ももも、僕にもそこの本音を出してくれるようになったんだって思うと嬉しいよ。脳内思春期男子って言われてたもんね。そういうとこも最高にかわいいと思ってたけど」

 そう言われて、時が停まったように感じる。

「……へ。先生、リクさんの時の記憶って……」

(ないんでしたよね⁉)

 そう思っていたのに、先生はにこりと笑って、「あるよ」と言った。

「……え?」
「『夜の僕』が昼の僕が見たものを見て聞こえてたように、実は、僕も、夜の僕の見たものは見てたし、聞こえてたんだ」

「ええぇぇええええええええ……!」

(えぇ、ちょ、ちょっと待って! 一体それはどういうこと!)
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