腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 ちょうどそこにいた室長が持っていた雑誌をリク先生に見せる。
 それは、今月発売された影響力のある100人だかなんだかの経済誌で、リク先生もそのうちの一人として掲載されているのだ。

「李久先生、雑誌の記事見ましたよ。『深部脳動脈瘤クリッピング術成功率100%! 脅威のオペ件数をこなすオペ好きドクター』って、インパクト大きいし、反響凄いですよ」

「あぁ、ありのまま答えてたらそんなことに。それに父がさらに悪ノリして色々付け加えたみたいです。患者さんが減るかと思ったんですけどね」
「県外からも患者さん増えましたよね」
「まぁ、おかげで好きなオペが好きなだけできてるんですけど」

「そういう意外な性格が、最近病院内外問わずすっごい人気ですよ」

 そう言って室長は笑う。

 リク先生が、オペが好きってことも周りにカミングアウトし始めて、周りの人たちも意外そうにしながらも案外あっさり受け入れた。
 なんなら以前より人気も増したようだ。
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