腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 そう思って抗議の目を先生に向ける。
 先生は優しく微笑んで私の頭を撫でた。

「大丈夫。心配しなくても、子どもができてからはもっと一緒にいられるように段取りしているよ。大好きなももと子育てできるの楽しみにしてるから」

「私が言いたいのはそんなことじゃないですし! そもそもそんなこと、こんなところで言う事じゃないです!」

 私が真っ赤になればなるほど、先生は微笑むばかり。
 なんだかリク先生、すごく意地悪くなってません?

―――でもね。

 微笑んで差し出されたリク先生の手は、いつだって握ってしまうんだ。
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