腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
2章:昨日の夜のこと

―――僕は優しいわけじゃないよ。こうしてた方がみんなが言うことを聞いてくれるから優しいフリをしてるだけでね。


 目が覚めたらベッドの上だった。
 しかし、それはいつも通りの自分の部屋の自分のベッドの上ではなかった。

「って、ここ、リク先生のベッド……!」

 リク先生のベッドの上だ。

 驚きと少しの期待で、自分の服装を見る。
 でも、服装は昨日の夜のまま。

 酔っぱらって帰ってきて、リク先生のベッドにもぐりこんじゃったんだろうか。
 今まで一度もそんなことしたことないのに……。

 だから、あんな夢……。

「……やっぱり夢、なのかな」

―――もっと泣いて? 僕にいじめられて泣いてるもも、可愛すぎる。

 あんなこと、リク先生が言うはずない。
 でも、いつも見る夢の中でも、リク先生は優しくて……。

 だからこそ、昨日の夜のことは夢じゃないような気がした。
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