腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 リビングでぼんやりしていて、気付いたら朝8時。慌てて家を出て、病院に到着したら更衣室で着替えて地域医療連携室へ。

 鍵はもう開いていて、扉を開くと室長が「おはよう」と言った。

「珍しいわね、遅刻じゃないけど、ギリギリなんて」
「す、すみません」
「謝ることじゃないわ。こちらこそ、いつも掃除まで気を配ってくれてありがとう」

 室長はそう言うと、やってきた事務の二人も見て、「ミーティング始めるわね」と微笑んだ。

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