腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
これからどうしようかと職員出入り口を出たところでウロウロしていると、「もも」と声をかけられて、私は思わず身を小さくした。
しかし、先程の声を反芻して、女の人の声だったと分かると私はそっと後ろを向く。
「何してんのよ? 今日、夕飯食べにいかない?」
「美奈さん……」
振り向くと、美奈さんがいた。
私は美奈さんの姿を見て、ほっとして泣けてくる。
「何喜んで泣いてんのよ。変な子ね」
そんな私を見て、美奈さんが苦笑した。