腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
美奈さんの住むマンションは、私にとって第二の実家のようなものだ。
幼い時に父を事故で亡くし、高校生の時に母も亡くした私は、母の亡き後も母と暮らしていた家で一人暮らしを続けた。
母の姉である美奈さんは、そんな私を気にして、時にはうちに来てくれ、自分のマンションにも私を誘ってくれた。
その時、周囲からは家を売れと言われていたが、私はどうしても踏ん切りがつかず、その気持ちを大事にしてくれた美奈さんが、面倒な手続きから何からすべてやってくれ、私が納得するまで母と住んでいた家に住めるようにしてくれたのだ。
私を無理やりその場所から引きはがさなかったから、私はゆっくり自分の大事な場所にお別れができたのだと思っている。美奈さんには、感謝しかない。