腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
美奈さんのマンションに着くなり、私はすぐにおつまみを準備をする。
簡単にサラダと生ハム、それにチーズとフランスパンを焼いて盛り付けると、待っていたように美奈さんがすぐにワインを開けて、二人で乾杯をした。
「この前は病院長も反省してたわよ。自分の気持ちを押し付けすぎたかもしれないって」
「病院長のお気持ちは、分かってます」
私はすぐに頷く。
私がリク先生と結婚したいと言い出した時、後押しをしてくれたのもリク先生の父である病院長だった。
それに、私は、リク先生との子どもなら他の誰でもなく自分が生みたいと思ったのも確かだし、今だって、その気持ちに変わりは……。