腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

―――その時、
 美奈さんの家のインターホンが鳴った。

「誰かしら。宅配かもね」

 美奈さんが玄関まで行ったとき、私は涙を拭う。

(やっぱり、どんなこと言われても、先生が好きって事実は変わらないんだ)

 私はふとそんなことを思う。
 そして戻ってきた美奈さんを見上げると、

「もも」
「ぴゃっ……!」

 リク先生がそこに美奈さんと一緒に立っていたのだ。

 好きなことはわかったけど、あまりに突然のリク先生の登場に、思わず顔を手で覆っていた。
 酔い始めていたので、すぐに身を隠すことができなかったのだ。
< 45 / 218 >

この作品をシェア

pagetop