腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 そう思って、先生を見ると、先生は困ったように瞳を揺らした。

「……僕が、そんなこと、言った?」

 私はその言葉に頷く。

「それはもうはっきりとおっしゃってました……」
「いつ?」
「昨日の夜、おそく」
「それは……」

 先生が、戸惑ったまま口元を手で覆い、私を見る。
 その目を見て、私は眉を寄せた。

(あれ? これって……この先生の、顔って……)

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