腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

―――まさかの夢オチとは!

 顔がすっと青ざめて、そのまま私は限界まで頭を下げる。

「す、すすすすすすみません! わ、私、先生にすっごく失礼なこと言いました!」
「それで今日一日変だったんだ」

 先生はほっとしたように微笑む。
 先生はこんな時まで優しくて、昨日の夜の先生とは全然違った。

 夢なら当たり前だ。
 先生があんなこと言うなんて、本気で信じていた私はバカだ。

「本当にすみませんっ! 勝手に変な夢見て、勝手に変なこと言って……!」
「そんなことで謝ることないよ」

 先生はそう言って私の髪を優しく撫でる。
 その手つきは、昨日の夢の中の先生の荒々しいものとは全然違った。
 
「先生……」

 やっぱりリク先生は優しい。
 それに、私の様子が変だったから、わざわざ迎えに来て私との時間をなんとか作ろうともしてくれたんだ……。

(そんなリク先生に私はなんてことを……!)
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