腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
そう言ったとき、
「もも、この前言ったこと覚えてる?」
「この前?」
(この前言ったことってどのことだろう……)
私が先生を見つめると、先生は低い声で言った。
「言ったでしょ。今すぐにでもめちゃくちゃに抱いてもっと泣かせたいって」
(だめだ。これ、また夢の先生だ……!)
そう思ったのに、私の目はやけに冴えた。
目を覚ますためにもう一度寝るべきか……そんなことを考えるより、身体が危機を感じて逃げるように先に動く。
ベッドから這い出そうとしたところで、先生に腕を掴まれベッドに押し戻されると、先生は、ちゅ、と一度私の唇にキスを落としたと思ったら、そのまま深いキスをした。
「んーーーーっ!」
その感触がやけに生々しい。夢なんかじゃ説明つかないほどに……。
(なんで……⁉ これ、夢じゃない!)