腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 そのまま先生の唇が私の耳に這う。その強引さに勝手に涙が滲んだ。それをみて先生がクスリと笑う気配がする。

「んんっ……」

 慌てて先生を押したけど、先生はその手も掴んで、ベッドに縫い付ける。
 そして、私を組み敷いたままにこりと微笑むと、シャツのネクタイを引き抜いた。

「ちょ、せ、先生……?」
「うん」
「なんで上、脱いだんですかっ⁉」

 そのまま流れるように、先生は自分のシャツも乱暴に脱いだのだ。鍛え上げられた上半身が想像以上に目に毒で、思わず目を逸らしてしまう。

(ひぃ! すごい大人のフェロモンが……!)

「わかるでしょ? 大人なんだから。それも分かっててベッドにもぐりこんだんじゃないの?」
「あ、えと……」

(つまり、そういうことですか⁉ 下着は今日も準備万全ですけど……!)

 とは思っても、突然の事態に戸惑いしかなかった。
 そもそも先生は私から誘うつもりだったのに……。それにここまで積極的なリク先生は完全に想定外だ。

 そう思って青くなった時、先生は私の頬に触れる。
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