腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

「ハハ、やっぱりこういうこと、知ってたんだ。誰に教えてもらったの?」
「え……」
「アイツかな」
「あ、アイツって……?」

 誰のことかわからない。
 こういうことを教えてくれたのは全部美奈さんだけど、先生が美奈さんのことをアイツなんて言うはずないし……。

 困って黙っていると、先生はもう一度私にキスをする。
 そのままルームウェアの中に冷たい手が入り込んできた。

「や、ちょ、ちょっと待って……」
「ももだって少しは期待してたんじゃないの? もう嘘はつかないほうが身のためだよ」

 返事するより前、すぐにまたキスをされ、口内に舌が這う。
 顔が、全身が、カッと熱くなるのを感じた。

「せんせっ……!」

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