腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
覚悟して目をぎゅっと瞑った時、先生のスマホが鳴った。
「ちっ……。残念」
「へ……」
(あれ? なんか今……先生、舌打ちした⁉)
呆然としていると、先生は私にキスをする。
そのまま当たり前のように舌を絡めて、十分に口内を弄った後に唇は離れていく。
「ひゃっ……⁉︎」
と思ったら、次は私の首筋に痛いくらいのキスを落とし、いってきます、と微笑んで部屋を出ていった。
「……い、今の、誰……?」
全部が全部、リク先生じゃないみたいに感じた。まるで夢の中だ。
それでも、首筋に残る熱に、今起こったことが夢ではないことを確信していた。