腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 のそりとベッドから起き上がって、リビングに行ってみると、やっぱりいつも通り先生はいない。

 先生がいつも座っている椅子を見つめていると、少しずつまた昨夜までの記憶が鮮明に蘇ってきた。


―――それは夢……じゃないかな。

―――言ったでしょ。今すぐにでもめちゃくちゃに抱いてもっと泣かせたいって。


 リク先生は夢って言った。
 でも、あの時また、先生は同じこと言ってた。

「……どういうこと?」

 リク先生のことが、分からない。
 でも、先生のこと、全部知りたいって思うのは今も変わってない。

 だてにずっとリク先生に片想いを続けていたわけではないのだ。
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