腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 そのとき、玄関で物音がした。
 思わず顔をあげるとリビングの扉が開く。

 すると、少し疲れた顔の先生がそこにいた。

「せ、先生。おか、えりなさい。どうして?」
「ももの様子が気になって」
「え……」

(もしかして、昨日のこと気にしているのだろうか……)

 口ごもっていると、先生はそっと私の身体を抱きしめる。
 そして私の頭を撫でた。

「もも、ごめん。今、忙しいのもあって」

(忙しくて、ストレスからあんな強引な行動に……?)

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