腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

(止めた……? したくないってこと?)

 私はそれがストップの合図だと思って、涙目で先生を見上げる。

「や、やっぱりだめですか。お腹ぐうううって鳴って雰囲気ぶち壊したし……。泣いても、だめ?」

 いつの間にか涙がこぼれる。
 先生はその涙を温かい指先で拭って、先ほどとは全く違う優しいキスをそっとした。

「ごめん」

 謝るってことは、やっぱりだめだってことだろうか。
 そう思ったとき、先生が立ち上がり、私の足の下に腕を差し込むと私を抱き上げた。いわゆるお姫様抱っこ。

「へ……?」
「もう誰にも、ももを奪われたくない。僕の部屋にいこう」

 先生が決意したようにそう言って、私はその言葉に頷いた。
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