腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

―――あんなのきっと夢だ。夢オチに違いない。

 そう思ってたのだけど、明るくなった室内の天井を呆然と見ていると、先生が顔をのぞかせた。
 もちろん、裸のまま。

「もも?」
「ひゃぁっ……!」

 慌ててシーツを手繰りよせ、泣けるほど赤い印のたくさん散っている自分の身体に巻き付ける。
 ぎゅっと目を瞑ってかすれた声で叫んだ。

「わ、私っ! どんな先生でもいいって、全部知りたいって言いましたけど……もう少しゆっくり知りたかったんですぅ……!」

 美奈さんからそういうこと聞いてたけど……! 色々教えてもらってましたけど……!
 そういうのって、本当に全部一晩ですることなの……?

(これじゃ、間違いなく身体が持たない……)

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