大好きなはずなのに
✴︎隠し事✴︎

私には、誰にも言えない秘密がある。

友達や家族に言っても信じてもらえないと思うから、初めから伝えるつもりはない。

私、倉田 芹那(くらた せりな)。

進学校に通う高校2年生。

夜、お風呂から上がって課題に取りかかっていると、すぐ近くに置いていたスマホが鈍い音を立てた。

画面を見ると、好きな人からのメッセージが届いていて心が躍る。

【なぁ、今度の日曜日空いてる? もし良かったら、俺とご飯行かない?】

彼からの誘いで、ますます胸が高鳴る。

【行きたい!】

と速攻で文字を打ち、送信ボタンを押した。

彼とは、同じクラスの日下部 透(くさかべ とおる)。

私は、彼のことが好きだ。

付き合ってはいないけれど、よく遊びに行く仲。

透の好きなところを挙げると、たくさんある。

誰に対しても優しくて、子供が大好きで街で泣いている赤ちゃんを見かけると近くに行っていないいないばあをして笑顔にさせるところ。

他には、礼儀正しくてリーダーシップがあって責任感が強いところ。

数え切れないぐらい、まだまだいっぱいある。

だけど‥‥‥。
< 1 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop