大好きなはずなのに
先日、友達が伝えてくれた言葉が脳裏によぎった。
『日下部くんも芹那のことが好きみたいだよ』
その言葉に、背筋が凍りついたのを覚えている。
別に友達を責めているわけではない。
友達は、まるで当たり前かのように私の恋を応援する気持ちも分かる。
実際、私もその友達の恋を応援している。
だけど、その言葉は知りたくなかった。
普通の人は、両想いになれたことに物凄く喜ぶのに、私はそうじゃない。
だから、ふと思うことがある。
私の恋は、偽りの恋なんじゃないかって。
やっぱり、私には“追われる”より、“追いかける”ほうが合っているのかなって。
でも、彼が好きなのは事実。
周りから彼のこと好きかと聞かれたら、好きだと答えられる自信もある。
でも、彼のこと全部を含めて愛しているかと聞かれたら、私は即答できない。
別に、透に嫌いな面があるとかじゃない。
ただ‥‥‥。
私が生理的に受け付けられないだけ。
こんなこと思うのは最低だと自分でも分かってはいる。
私が普通の心を持った人間ならば、彼と結ばれたらどんなに幸せなんだろうと何度も頭を悩ませた。
その度に、消えてはくれない醜い感情。
どうして‥‥‥?
私は、こんな感情を抱いてしまうのだろう。
どんなに答えを探しても導き出せることができないまま、彼と約束した日曜日が来た。