大好きなはずなのに
透と会って話すのは、とても楽しくて心が弾んだ。
友達のあの言葉を忘れるくらい。
でも、忘れさせてはくれなかった。
「‥‥‥あのさ」
帰り道、足を止めて私を見つめる彼。
ほんの少し彼の頬が赤くなっているのが見えて、私はその途端、心の奥底で大切にしていたこの気持ちが崩れる音がした。
「俺、芹那のことが」
「やめて! それ以上言わないで!」
彼の言葉を遮って、耳を塞いだ。
その先の言葉は聞きたくない。
「どうしてだよ?」
不満そうに透は尋ねるけれど、君に本当のこと言えるわけがない。
だって、
私は‥‥‥、
彼の気持ちを知ってしまったら、
大好きな君をもう好きにはなれない。
ーーーー蛙化現象。