甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「告白してから、もうそろそろ半年経つんだけど、やっぱり脈なしってことなんだろうな」
 ジントニックを飲みながら、俺はため息をつく。
 
 俺の横顔をまじまじと見つめながら、孝之は言った。
「本当の本当に、姉ちゃんのこと好きなんですね、島内さん」
「ああ。可能性は限りなくゼロなんだろうなと思っても、どうしても諦められない」

 孝之はすまなそうな顔をした。
「すみません。意固地すぎる姉で。じゃあ、お詫びに弟の俺が一肌脱ぎますよ」

「えっ? 本当?」

「来月、合宿するんですけど、俺、そこに姉ちゃんが来るように取り計らいますから。島内さん、そのとき、絶対、姉ちゃんゲットしてくださいよ」

「合宿か。うん、いいね」

「9月23日からの3連休。俺の田舎に泊りがけで。中学校のサブグラウンドを貸してもらう手筈も整ってます」

 孝之と仲良くしておいて良かった。
 上手く行った暁には焼肉でも奢ってやんないと。
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