甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「サンキュ、孝之。俺、頑張るわ」
 孝之は頷き、それから神妙な顔つきになった。

「我が姉ながら、何をそんなにためらってるんでしょうね。普通の女子なら、島内さんから告られたりしたら、もう感激のあまり、ぶっ倒れそうなのに」

 俺はずっと気になっていたことを孝之にぶつけてみた。

「まだ、元カレのこと、忘れられないのか……な、彼女」

「そこのところは弟の俺にもわかりませんけど。でも、たとえそうでも、俺は断然、島内さんを推しますよ。本当に姉ちゃん、贅沢すぎるって。島内さんみたいな人に想われるなんて、奇跡みたいな出来事なのに」

あー、孝之の言葉が心に沁みる。
「お前、いい奴だよ、本当に」
 
 俺は横から奴の頭を捕まえて、ぐりぐり撫でまわした。

 今度、特上カルビ、奢ってやんなきゃ。
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