甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「どうしてそんなに好きでいてくれるんですか。だって、島内さんはありえないほど凄い人なのに。わたしなんか、なんの取柄もなくて、あなたに吊りあうはずがないのに……」

「きみの全部が好きだから、としか言いようがないよ」

 愛おしげに目を細めてわたしを見つめながら、彼は言った。

「ドイツでケガをしてから俺の気持ちはどん底状態がつづいて、もう永遠に浮上することはないんじゃないかと思ってた。だって、子供のころから憧れてて、ようやく手が届いたサッカー選手としての道を絶たれたわけだからね」

 目を逸らさずに、話し続ける。
 甘く、優しい声で。

「そんなとき、植田さんに出会って、俺は救われた。それから4年半、ずっときみを見てきた。でもこの気持ちはほんの少しも変わらない。それどころか、大きくなる一方なんだ。植田さんほど魅力的な人はこの世にいない。少なくとも俺にとっては」
< 136 / 164 >

この作品をシェア

pagetop