甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「本当に?」
 頷くと同時に、彼の胸に抱きしめられていた。
 わたしの髪に口づけを落としながら、島内さんは囁いた。

「ああ。もうずっと、本当に長い間こうしたかった。奈月に触れたくてたまらなかった」
「島内……さん」
「奈月」

 彼は両手でそっとわたしの頬をつつんだ。
 壊れものを扱うように優しく。

 彼の、慈しみと欲望がないまぜになった眼差しを受け、わたしは眼を閉じた。

 すぐに唇が重なってきた。
 そっと触れるだけ、と思ったのは束の間で、すぐに激しくなった。
 息がつけずに苦しくなって一度逃れると、またすぐ捕まえられて……
 
「ああ、本当に今、俺の腕のなかに奈月がいるんだな」
 耳元にあった彼の唇は、そのままわたしの首筋を這い始める。

「ン……」
 その甘い刺激に思わず、声を漏らす。

 彼はわたしの背に手を回し、さらに強く抱きすくめた。

「そんな可愛い声で煽らないでくれよ……我慢できなくなる」
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