甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 また、唇がふさがれる。
 いつのまにか舌が侵入してきて、口の中を妖しくうごめきだす。

 身体中の力が抜けて、立っているのがやっと。
 くずおれそうになるわたしの背を支える手に力を込め、島内さんはさらにわたしの唇を、口腔を味わい尽くした。

「さっきまでは、本当に帰るつもりだったんだけど……」
 少し息を荒げている彼は言った。
「やっぱ無理」

 そう言うと、わたしの膝裏に腕を回して掬い上げ、耳たぶを甘噛みしながら「シャワーはどっち?」と訊いた。

 わたしは顔を真っ赤にして答えた。
「右側……です」

 わたしを抱いたまま、島内さんはそのドアに向かった。

 そっと床におろされ、後ろから抱きしめられ、あっという間にブラウスのボタンを外され、下着を脱がされて、大きな手で胸をまさぐられ……

 頭からシャワーを勢いよく浴びながら口づけして。

 羞恥で頭がぼーっとして、その後のことは、床を叩くシャワーの水音しか、覚えていられなかった。
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