甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 でも、そうやって、がむしゃらに求めてくれることが、たとえようもなく嬉しかった。
 とても言葉にはできないけれど。

 だから言葉の代わりに、彼の首に腕を回して、ぎゅっと抱きついた。
 わたしの気持ちが伝わったようで、彼もふたりの身体が溶け合ってしまいそうなほど、力強くわたしを抱きしめた。

「奈月……ああ……」

 ふたりがつながったとき、思わず漏れた彼の掠れ声が、わたしをたまらない気持ちにさせる。
「奈月……なつ……き」

 彼の動きが激しくなるにつれて、わたしの身体の内が熱くなってくる。

「あっ、りょう、亮介さん」
「……俺も……もう」

 ふたりで同時に果てたあと、亮介さんはぎゅっと強く抱きしめて、耳元で愛の言葉を囁きつづけてくれた。

「好きだ……百万回言っても足りないぐらい……」
「わたしもです……あなたが好き」
 
 それから、夜が更けるまで……

 いままでの月日を、この一晩で埋めてしまおうとするかのように、ふたりで愛を確かめあった。
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