甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 その時、島内さんが、トンと大きな音を立ててグラスをテーブルに置いた。
 思わずつられて彼を見ると、視線が絡みあう。

 切れ長で美しい形の瞳にロウソクの炎が映り、ただでさえ端正な彼の容貌に色気まで加わっている。

 何か言いたげな島内さんの眼差しに息がつまり、わたしはもう一度、窓のほうに視線を逸らした。

「なあ、何があったんだよ」

 それまでとは、まったく違う口調で唐突に核心をつかれ、うろたえた。
 動揺するわたしの顔を、島内さんはテーブルに肘をついて覗きこんでくる。

「……ひどい隈だな。だいぶ寝てないんじゃないのか?」
「何もない――」
「なんもないわけないだろう? そんな、今にも泣きそうな顔して」
「……」
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