甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 総務にも予備はないらしく、合い鍵を作るのに中1日かかるという。

「それまでにロッカーから出さなければならないものはありますか? マスターはあるので開けることはできますけれど」
「いえ、それは大丈夫です」
「では木曜日にはできてますから。午前でも大丈夫ですよ」

 ああ、もっと聞いていたいんだけど、この声。
「あの、お名前……伺っといていいですか?」
「あ、失礼しました。総務部第1課の植田です」
「じゃあ、植田さんを尋ねて行きます」
「わたしが不在でもわかるようにしておくから大丈夫ですよ」

 いや、不在のときになんて絶対行かない。
 このチャンス、逃すわけにはいかない。
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