甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 もう。
 こんな秘密めかしたことされると焦ってしまうんだけど。

 でも、なんで?

 あの島内さんなら、飲みに行った女の子と一夜を過ごす……なんて、よくありそうなことなのに。
 いちいち気にかけてくれるなんて思ってなかった。

 ためらいながらも、わたしはそこに書かれていた携帯の番号に電話をかけた。
「はい、島内です」
「……」

 声を聞いた瞬間、言葉が出てこなくなった。
 なんか、勝手に心臓がドキドキしてしまう。
 早く静まって。

「……植田さん、だよね」
 でも彼にすぐ言い当てられた。
「はい。あの〝名刺〟の件で」

 そういうと、島内さんは急に声を潜めた。
「今日、時間ある? 話がしたいんだ」
「えっとーー」

 どうしよう。
 ちょっと電話で会話しただけで、こんなにドギマギしてるのに。
 直接会って、話なんてできるかな……
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