甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
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7時すぎ、会社を出た。
地下鉄の駅に着くと、島内さんが改札の前に立っていた。
それにしても……
こうして離れてみると、見とれるほどかっこいい。
長めの髪をセンターでわけ、ゆるくスパイラルパーマをかけている。
腰の位置が驚くほど高い。
それに、トレンチコートがとてもよく似合っている。
肩幅が広くて、胸板がしっかりしているからかな。
がっしりしているのに着痩せして見える気が……と、そこまで考えて、わ、わ、わっと打ち消した。
着痩せとか、何、考えてるのよ、本当に。
自分で自分にあきれてしまう。
そんなわたしの焦りなんてつゆ知らず、島内さんはわたしの姿を見とめて、嬉しそうに手を振った。