甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「来てくれないかと思ってたよ」
「だって、返事を待たずに電話切ってしまったじゃないですか」
「ごめん。でも、そうでもしないと、会ってくれないかと思って」

「話ってなんですか?」
「ああ。昨日、会社休んでただろう? それで心配になって」
「有給取ってたんです。金曜日に申請してたので」
「そうか。それなら良かった」
 わたしの言葉を聞いて、島内さんは安堵の溜息をついた。

「それだけだったら……」

 帰ろうとするわたしを彼はあわてて制した。
「ええ? そんなつれないこと言わないでよ。せっかく会えたんだし。とりあえず、あそこに入らない?」と改札の向かいにある有名カフェ・チェーンを指差した。
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