甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 彼は2人分のカフェオレをトレイに乗せて運んできてくれた。

「ありがとうございます」
 財布を出そうとすると「いいよ。俺が誘ったんだから」とわたしを制した。
「あ、でも、この間も全部出してもらったし、悪いからせめて……」
「気にするなって。それよりあの朝、先に帰っといて今さらって言われそうだけど……」

 席に着くなり、彼は話しはじめた。

「あれからずっと植田さんのこと気になっててさ。で、勇気出して月曜日に総務を訪ねたら休んでるって言うから……余計、心配になって。やばい、俺のせいかよって」

 カップから立ちのぼる湯気の向こうから、島内さんはちょっと上目遣いでわたしを見つめている。
 そして、言いにくそうに口をゆがめた。

「あのさ……軽蔑してるよな。俺のこと。落ち込んでる女性につけこんで手を出した卑劣な奴だって」
「えっ?」
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