甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「今さら言っても、やっぱり信じてもらえないかもしれないけど……植田さんが好きだったんだ、ずっと。4年前、新入社員懇親会で司会をしている姿を見たときから。あとで彼氏がいるって知って、大ショックを受けたんだけどね」

「……島内さん」

「だからこのあいだの夜、けっして不真面目な気持ちできみを抱いたわけじゃないんだ。傷ついているきみを少しでも楽にしてあげたい。あのときはそれしか考えてなかった」

 真摯な響きを持った言葉だった。
 
 それにあの日。
 始終、気をつかってくれていたことは、わたしにもちゃんと伝わっていた。
 だから、騙されたとか、弄ばれたとか、そんな気がまったく起こらなかったのだろう。

「わかってます。さっきも言ったとおり、気にしないでください。あの日はわたしもまともじゃなかったので」
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