甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「じゃあ練習終わったら、一緒に栗原の店、行く? 奴も喜ぶんじゃないかな」
「行きます。ぜったい行きます。じゃあ、待っててくださいね」
「ああ」

「すみません。弟が無理言って」
「いや、いいよ。それより植田さんも来てくれる?」
「うーん、でも明日仕事があるし」
「ちょっと顔出すだけでいいからさ」

 島内さんは手を合わせて拝んでくる。

 まあ、初対面同士を行かせるわけにもいかないか……

「わかりました。でも、すぐ帰りますけど」
「そうこなくっちゃ」

 島内さんはまた、あの必殺技の笑顔を繰りだした。
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