甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
第5章 急接近の夏
〈side Natsuki〉
8月になった。
夏真っ盛りで、毎日、うだる暑さが続いている。
元気なのは、耳をふさぎたくなるほど盛大に鳴いている街路樹の蝉だけ。
株主総会の事後処理も終わり、ようやく総務部に穏やかな空気が流れはじめたころ……
「植田さん、ちょっと来てくれる?」
水野課長が出社したばかりのわたしを呼んだ。
「営業部の方から打診があって、しばらく新規ブランド準備室の方を手伝ってきてほしいんだけど」
「新規ブランド……?」
「ほら、うちの社で新素材の開発に成功したでしょう? それを使った自社ブランドを立ち上げるというところまで話がまとまったらしいのよ。準備室の室長から忙しくなるからぜひ即戦力になる人材を貸してくれって言われて。部長と相談して、植田さんなら適役だろうという話になったの」
8月になった。
夏真っ盛りで、毎日、うだる暑さが続いている。
元気なのは、耳をふさぎたくなるほど盛大に鳴いている街路樹の蝉だけ。
株主総会の事後処理も終わり、ようやく総務部に穏やかな空気が流れはじめたころ……
「植田さん、ちょっと来てくれる?」
水野課長が出社したばかりのわたしを呼んだ。
「営業部の方から打診があって、しばらく新規ブランド準備室の方を手伝ってきてほしいんだけど」
「新規ブランド……?」
「ほら、うちの社で新素材の開発に成功したでしょう? それを使った自社ブランドを立ち上げるというところまで話がまとまったらしいのよ。準備室の室長から忙しくなるからぜひ即戦力になる人材を貸してくれって言われて。部長と相談して、植田さんなら適役だろうという話になったの」