甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「違う、違う。あの日ちょっとボールに触ったじゃない。そしたら俺のなかのサッカー熱が復活しちゃって。で、ちょっと前に孝之くんに『少し時間できたから遊びに行ってもいいか』ってLINEしたら、それならコーチしてくれって頼まれてね」

「それは……孝之たちにとって願ってもないお話ですけど」

「でも聞いたよ。植田さんはマネージャーやめちゃったんだよね」
「あれからすぐ人が見つかって。亜衣ちゃんのお友達らしいです」

「あのさ……」

 島内さんは少し間を空けた。
 どうしたのかな、と見上げると思わせぶりな流し目でわたしを見つめていた。

「白状するとさ、コーチを引き受けた理由のひとつに、アフター5、植田さんと一緒にいられるかも、って下心もあったんだけどね」
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