甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「えっと……」

「で、がっかりしてたら、一緒の部署に異動になったって知って。もう、アディショナルのラスト10秒で決勝ゴール決めた気分だったよ」

 島内さん、ぜんぜん変わってない。

 最後に話したのは、まだ、梅雨前。
 梅雨が明けてから、だいぶ経つのに……

 意外なような、でも、少しだけ、ほっとしたような。

 それなのに、わたしはまた、そっけない答えを返してしまう。

「そう……ですか」
 
 どう答えたらいいか、本当によくわからなくて。

 でも、いつものことだからか気を悪くする様子も見せず、島内さんは「さて行こうか」とだけ答え、廊下を歩きはじめた。
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