甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
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準備室のオフィスは、まだ借り所帯。
中ぐらいの広さの会議室の一室を使っている。
今までいた総務に比べるととても狭い気がする。
ドアを開け、中を見渡すと、まず中央に置かれた人数分の机が目に入った。
パーテーションの向こうに打ち合わせ用のテーブルとホワイトボード。
それから入り口の近くの小さな机の上にコーヒーメーカー。
今のところ、備品はそれですべて。
まだ殺風景な様子だった。
デスクにカバンを置くと、島内さんは言った。
「先週末忙しくて、ほとんどの荷物がまだ営業に置きっぱなしだから、ちょっと行ってくる」
「お手伝いしましょうか?」
「いや、台車にのせて引っ張ってくるだけだから大丈夫」
明るい笑顔を浮かべながら、彼は出かけていった。