黒曜の戦場


今日も袋を豪快に裏返してボトボトと落としていくおにぎりたちの端から、みんなの手が伸びて、砂崩しゲームのようにおにぎりがなくなっていく。

食べ盛りの男子高生怖ぇ……。



と、その時琥珀ちゃんはハッとして思い出す。



「あ、まって!いおりさん、には持ってかなくていいの……?」



確か昨日「喰うのはまだ」だかなんだか呟いていたので、お昼にお腹を空かせたまま作業していても不思議無さそう……と思ってしまう。

睡眠を犠牲にしてまで熱中するなら、飲食を忘れていても不思議ない。



雨林さんはお昼になって早々に外へ出て、作業の再開まで戻っては来ないし。



「いおり、さん……??」



彼らはそんなことを気にしたこともなかったのか、キョトンとしている。

未夜くんに至ってはもう私のお弁当箱にしか視線が向いていない。



「あの人ずっとあの部屋に籠ってるじゃない」

「まぁ……はい、たしかに」



黒髪くんも金髪くんも、私が言い出した事に少し怯えた表情すら見せる。

こいつ何言い出してんだって顔してる。

私だってあの人は怖いのだ、気持ちは分かるけれども。

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