黒曜の戦場

9.おにぎり食べますか?



緊張、しないはずがない。

扉の前で、すーーーと大きく深呼吸をしようとした時、手を繋いでいた未夜くんが既にノックをしているという事故が発生した。



「え、ちょ」

「いおり、俺。入る」



未夜くんからしたら事故でもなんでもないかもしれないけれど!!

私ちょっと今、思いっきり深呼吸をしようとして息吸って止めてたところだったんですけど!!?



未夜くんはいつもの事のように扉を開けると、心の準備が中途半端な私はビックー!!!と体全体を使ってビクついてしまう。

手足ピーン!背筋ピーン!

深呼吸で息を吸いすぎて、そのまま緊張で息が止まってしまって、琥珀ちゃんの体はもうガチガチで苦しいですっ!!



容赦なく部屋へと入っていく彼の後ろから、(怖いから)薄目でひょこひょことついて行き……そして。

画面を高速で叩いているような音で目をまんまると開いた。

なんだこのリズム感のいいタップ音は?



耳をすませば、微かにシャカシャカとした音楽が聴こえるような気もする。



「ごめん琥珀。いおり、俺たちに気付いてくれてないや」

「は……?」

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