黒曜の戦場
違和感が多々あるので、未夜くんの後ろから彼を覗き込むと、そこには────ヘッドホンをして、机の上でスマホゲームをやっている姿。
しかも私はいおりさんのあの指の動きに見覚えがある。
「プロセカしとる」
ガチ不良が、プロセカやってやがる。
音楽ゲーム……通称音ゲー。
彼は音ゲーをヘッドホンで高音質で聴きながら指先でリズムをとって、とんとんすいすい、滑らかな指捌きを見せていた。
ガチじゃん。
慣れてるじゃん、やる込んでるな。
マジか。音ゲー好きなのかなあの人?
「琥珀知ってるの?」
「音ゲー、だよね?」
「いおりはよくゲームやってる」
昨日はぶっ倒れていたいおりさん、原稿作業で無理しているのかと思いきや。
天下のプロセカ民であった。
すると、トンッと一際大きくタップの音が響いたところで、彼は首を左右にコキコキと動かした。
どうやらフィニッシュしたらしい。
その首をぐるりと回した時、ようやく私たちと目が合う。
「あ?」
メンチきられてる……???