黒曜の戦場


「未夜の女?」

「とんでもございません」



そ、そんな、未夜くんとは昨日会ったばかりでっ!!

そんなそんな、私みたいな下々の者が未夜くんのものになっちゃうなんて、そんな恐れ多い。

とか言っといてちゃっかり手は繋ぐんだけれども。ぬふふ。



「どちらかと言うと咲の?連れてきた子」

「お前咲の女?」

「いや……誰の女でもない、ただのしがない応援要因の琥珀ちゃん、です……」



あ、そう言えば咲くんがとんでもないこと話していたのを思い出した。

これからこの人にポーズモデルとして描かれるということ。

今嫌われてしまっては、今後顔を合わせるのが苦しくなってしまう!!

琥珀ちゃん大ピンチ!!!



「……そういや、でかい画材持った奴が来てたな」

「それは2日前の琥珀ちゃんです」



マジでこの人、人の顔覚えてないな??

一応3日いて3日とも顔合わせているんですけれども……。



机に肘をついて頬杖でこちらを眺めるいおりさんに、おずおずとおにぎりを渡そうにも……片手が未夜くんで塞がれている。

両手で差し出したいのに。

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