黒曜の戦場
くいくいっとその繋がれた手を離そうとすると、未夜くんの自由な方の手が私の持っているおにぎりをさらっていく。
「琥珀が食えって」
はい、と机の上に置かれた二つのおにぎり。
まって、食べて欲しいという願望ではあるけど、食えって命令ではないからね!?
ニュアンス全然違うんですけど未夜くん!!ひぃ!!
「無理に、ではなく!!昨日なんか、喰うとか喰わないとかなんか、お腹空かせてないかなって思って!!」
そうフォローしようとするも、テンパってしまったせいで言葉がめちゃくちゃである。
なんてことだ、琥珀ちゃんの語彙力!!!
顔の前で自由になった手をフリフリと振って弁明する琥珀ちゃん。
なにも悪いことはしていないのに、言い訳みたいになってしまっている。
「昨日?」
「き、昨日……」
え、そういう話じゃなかったのかな……?
お腹すいてたってことじゃないの……?
「……あぁ。なに、喰わしてくれんの?」
「いや、私が食べさせるわけでは……」
いや、昨日の未夜くんにはファーストあーんを捧げてしまっていたけれども。
セカンドあーんをこの人に捧げるわけにもいかない……こんな、2日連続でなんて。はれんちっ。