黒曜の戦場


そのとき、未夜くんが私の手を離し、一歩前に立ち、壁をつくる。

今の会話で何が起きていたのか、私は気付けないまま。



「琥珀は、そういうんじゃないから」

「……未夜くん?」



なんでだか、未夜くんの冷たい声が、いおりさんに向けられていた。

離された指先は、未夜くんの低い体温で少し冷たくなっていた。



「なに、お前狙ってんのコイツのこと?」

「咲が許可しない」

「……あぁ、マジでアシスタント専門なわけ」



なんの話をしているのかもわからないまま、どうやら話がまとまっていたようで。

え、咲くんが……何かを許さない、で、何かを納得されたという、こと?ふぅん?(何も解ってない)

私の頭の中はやはり混乱しかない。



別に未夜くんに狙われているような危険な感じを受けたこともない。

アシスタント専門といえば割とそうである。

それ以外はなんもできないぞっ!

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