黒曜の戦場


「戦力がいなくなっちゃ確かにこっちも困る。逃げらんねぇようにしねぇとな」

「なんだか今すごく怖い発言を耳にした気がします」

「お前こっち側来んならそのうぜェ態度やめろ」



こっち側、も、うぜェ態度も、ちょっとよくわからない。

私が首を傾げると、おもむろにおにぎりへと手を伸ばして包装を切りながら、彼は指示する。



「敬語うぜェ、頭下げんのうぜェ、キョドんのうぜェ」



ポンポンと出るわ出るわ、琥珀ちゃんのウザがられている所。

酷い言い様である、全否定ではないか。

琥珀ちゃんが精一杯失礼のないようにと思っていたことが全て裏目に出ているというとんでもない事態。



パクリパクリとおにぎりが彼にどんどん吸い込まれていく……はっや。

おにぎりなくなるのはっや。



「未夜を見てみろ、俺らを呼び捨てするわ態度テキトーだわ、雨林のことリンチャン呼びしてんだろ。くそ生意気」



くそ生意気は言い過ぎでは……。

けれどそう口にする割には、誰もそのことを修正しようとはしない。

咲くんも雨林さんも、この人も、態度を改めろと言うようなことは言っていない。

それは未夜くんが特別だからなのかな?と思っていたけれど……もしかして違うのだろうか?

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