黒曜の戦場


けれど、奥の部屋の扉を開いてすぐに私の視界に飛び込んできたのは、上の服を脱いだ厳つい男二人が……いや、正確に言うと、仁王立ちしている男の腰元に縋るように抱き着いている男がいた、というべきか。

どういう状況?



そしてその男たちは二人揃ってこちらを向く。



「あ」

「あ」

「……」

「……オイ、動くんじゃねぇよ」



その二人の奥から、低く機嫌の悪そうな声も聞こえてきて、私の肩が跳ねる。

コワソウナ ヒト イル……!!!



気まずさと怖さで緊張が振り切ってもう感情が付いていかなかったけれど、手前にいる二人は綺麗な上腕二頭筋や大胸筋だな、なんて呆然と思ってしまっていた。(現実逃避)



「ごめんごめーん、一瞬顔貸して?」

「あ?なに、女?」



女――ここの厳つい人たちの中でもさらに厳つそうな人に私は認識されたのだという緊張感やら恐怖感が再び湧き出して来る。

やだ、こっち見ないで、顔とかいいから!!



「〆切前はナシだろ」

「いやぁそっちじゃなくてね、この袋見てよ。戦力だから」

「あ?」

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