黒曜の戦場
クリエイター……創造者。
私も、クリエイターの端くれだから、精神がどれだけ作品に影響を与えてくるかなんて身に覚えがある。
この人は……アシスタントではない。
描いて指示する人、作品を作り上げる骨の役割を担う人。
ガチヤンキー以前に、彼はそもそもクリエイターだった。
発想こそが作品の出来を左右する、そんな世界を知っている人。
だからこそ、きっと。
個人や人の意見を尊重している人なのかもしれないと、この一瞬でこの人の印象が大きく変わっていく。
じっと彼を見詰めていると。
「くそ餓鬼」
また、悪口を言う。
まるで煽ってくるかのように、それを重ねてくる。
けれどきっと、それは我慢を強いられているわけではない。
「酷いこと、言わないでください」
「あ?ください?」
「く……さい」
「臭くはねぇだろ……いや、絵の具の匂いはするかもしんねぇ」
くんくん、部屋の臭いを嗅ぎ出すその人に、ぷっと笑いが込み上げてくる。
なにそれ、犬みたい。
大型犬だけどこの犬はちょっと、かわいくない。